鑑定内容 |
【衝突科学の基本②】
自動車の衝突は、低速度衝突の場合は良く反発が起き、跳ね返りますが
高速度衝突になると、ほとんど跳ね返りは起きずに、ペシャンコに潰れてしまいます
【有効衝突速度】
↓の図は追突に於ける
追突車と被追突車の速度(A点・B点)の変化を表したものです
両車両の速度変化と車体の変形量を観察すると
衝突開始とともに両車の変形量が増大し、追突車の速度は徐々に減少していき
被追突車の速度は徐々に増大していきます
両車両は運動量の交換をして
衝突対象物と必ず同一速度になる瞬間(E点)を経ることになります
その後、反発現象により衝突後の速度(C点・D点)になります
この両車両が同一速度になるまでの速度変化を
「有効衝突速度(実効衝突速度・バリア衝突速度などともいう)」と呼びます
車両同士の衝突では、衝突方向や衝突部位の違いによって
車両の損傷状態が異なるため
車両の変形量だけを見ただけでは、衝突速度を推定することはできません
そのため、車両の損傷程度(変形量)から、剛体壁へと追突させた場合
どの程度の速度に相当するのかという表現を用いて
車両変形量を速度に換算したものが「有効衝突速度」と呼ばれ
車両の衝突の大きさを表す指標として用いられており
最終的に自動車の破損に置き換わる速度をいいます
従って、完全な剛体壁に衝突すると
衝突時の速度はそのまま有効速度となります
有効速度をもとめる方法としては、以下のような方法があります
【塑性変化量から推定する方法】
車両同士の衝突では、衝突開始とともに車両の変形が増大し
速度変化が生じることでお互いの運動量の変化が起こり
両車両の速度が一体となった瞬間に変形は最大となります
各種衝突実験から、衝突速度が大きくなれば車体に発生する変形量も大きくなり、
塑性変化量と有効衝突速度はほぼ比例している
車両の前部衝突事故(正面衝突)に於いては、次のような関係式に示される
自動車型式 | 関係式 | ||
2000ccクラス | FR式 | 車軸懸架 | Xf=0.0076Ve |
1500ccクラス | FR式 | 車軸懸架 | Xf=0.0086Ve |
1500ccクラス | FR式 | 独立懸架 | Xf=0.0095Ve |
1500ccクラス | FF式 | ― | Xf=0.0125Ve |
360ccクラス | FR式 | 軽自動車 | Xf=0.0076Ve |
Xf=変形量(m) Ve=有効衝突速度(km/h)
【車体吸収エネルギーから推定する方法】
コンクリート壁への衝突実験により、各種衝突速度に於ける変形に要した
エネルギーを測定し、この値から車体のエネルギー吸収図として
図面化した車体吸収エネルギー分布図を用います
事故車両の塑性変化に要したエネルギーを求めるには
車体の変形した部分を分布図に描き、その部分の数値の合計から
↓の計算式より求めることができます
Ve | = | 有効衝突速度 |
g | = | 重力加速度 |
E | = | 車体吸収エネルギー |
W | = | 車両重両 |
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