鑑定内容 |
【インク・紙の成分分析】
科学成分分析による筆跡鑑定の方法です。
筆記具、インク類、用紙などの鑑定に有効とされる手法です。
加筆などの疑いがある文字からインク等を取り出し
科学成分分析し真偽の判定を行います。
加筆などの疑いがある文書に残された「文字」が
同じ筆跡器具を使用したものなか否かの判定には
破壊検査である「高速液体クロマトグラフ(HPLC)」を使用します。
島津製作所-LC-2010HT
この検査方法は極性の低い物質も成分鑑別出来ることから
筆跡器具の筆跡時期(経年変化)の比較検査も可能になります。
検査資料の状態により「赤外分光法(IR)」や「蛍光X線回析」
「ラマン分光法」などの分析検査も登場します。
【顕微ラマン分光検査】
書かれた文字インクが同一のものか否か
書き足しや偽造の手が施されても、ボールペンのインクが違えば
後から手が加えられたと証明が可能になります。
Thermo社製 FT-IR Nicolet 6700 (フーリエ・赤外分光・ラマン分光)
CSI-科学捜査班に頻繁に登場していたモデル・・ずいぶん有名になりました。
(ボールペンインクの異同識別検査PLOT)
【ガスクロマトフィ/質量分析 GS/MS】
GC/MSは化学物質を基本的な構成に分離し物質を特定する事ができます。
クロマトグラフの原理
↑
みな同じに見えるボールペンでも、分析検査を行えば
かなりの精度で識別することが可能になります
また、紙の成分の違いも判定する事が可能です。
【科学捜査における紙の成分分析】
1980年代、ドイツの大手出版社が全世界発売を夢見た「ヒットラーの日記」
出版担当者たちは手書き文字の筆跡鑑定ばかりに着目
そして鑑定人たちの「可能性が高い」との評価を受け、進みだします。
・・ところが発売目前にある報告が・・
この報告は、西ドイツ警察の法科学者たちによるもでした。
研究者たちは、筆跡鑑定を視野に入れず、紙の成分に着目した検査が実施されていました。
その結果、ブランコフォーと呼ばれる漂白剤が含まれており、偽物であると
この事件は、科学捜査における筆跡鑑定の幅の広さを見せつける結果となりました。
現在でも刑事訴訟の裁判には「成分分析による筆跡鑑定」が度々登場し
科学的な鑑定として、重要な証拠と考えられています。
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