筆跡鑑定

鑑定内容

 

【筆跡の鑑定方法とは】

 

人は、文字を書くときに、さまざまな特徴を現します。

 

筆跡鑑定の方法

 

子供ころは字体を学ぶ際の手本となる教科書や指導者などの文字に影響を受けますが

精神的にも肉体的にも成長した年代になると

個人の筆跡個性は明瞭となり、筆跡が固定化し個人差が生まれます。

 

 

筆跡に出る、個人の癖(筆者特徴)を科学的に解明し

その文書が同一人なのか否かを識別することを筆跡鑑定と呼びます。

 

では、「個人の癖」とは何なのでしょうか?

 大辞林 第二版 (三省堂)
 くせ 【癖】 〔「曲(くせ)」と同源〕
 (1)ある人が無意識的にしばしば行うちょっとした動作。
 「話しながらあごをなでる―がある」「―が悪い」
 (2)普通とは異なった特徴。
 「―のある字」「―のある髪の毛」
 (3)やわらかい物に残った曲げあと。
 「襟に変な―がつく」
 (4)(「そのくせ」の形で逆接句を導いて)そうでありながら。
  普通、人の属性についていう場合に用いられる。
 「彼は寒がりだ。その―、コートは着たがらない」
 (5)きまり。習慣。
 「はかなきことも雲鳥のあやにかなはぬ―なれば/千載(雑下)」
 (6)欠点。
 「一字二字あまりたれどもうちよむに例にたがはねば―とせず/新撰髄脳」

 

 

筆跡鑑定で、よくいただく質問とは

 

  「あのぉ~筆跡鑑定って、文字の何を見て識別するんですか?」
  「この文字、この部分の特徴が、すご~く、似ていると思うんです」
  「だから、わたしには、この文字、同じ人が書いた文字だと思うんですが?」

 

実は、ここに落とし穴があるのです。

この質問に「うんうん」と同感できる「あなた」・・・

筆跡(文字)をパターン(形)として認識していませんか?

 

このパターンがズレると「筆者」が誰だか解らなくなります。

逆に、文字パターンが似ていると同じ「筆者」筆跡に見えてしまいます。

 

・・・法科学における、筆跡の定義とは・・・

 「筆跡は書字運動の一部が固定的に筆跡として残されたもの」

と、されています。

 

つまり、筆跡を分析的に観察すると言うことは

筆跡を通して筆者の「書字行動の一部」を捉えること

 

ですから、単に、文字(筆跡)の形(パターン)の違いを比較する事では、ありません。

 

ヒトには、それぞれ固有の傾向があります。

(簡単なところだと、利き手は右手とか・・^^)

 

この固有の傾向は個人差、希少性、恒常性として、捉える事ができます。

 

ここからが大事!

でも、個人差、希少性、恒常性として、捉えても、筆跡は「書字行動の一部」ですから

いつも、同じではありません。

でしょ!

 

一般のかたは、筆跡鑑定を一文字づつ比較し検査すると

イメージされる方が多いと思われます。

それは、書を初めて習う小学校の国語を連想されるからだと思います。

 

ですが、法科学の筆跡鑑定(筆者識別)では、

たくさんの文字(文書全体)を検証して「同一人か否か」を判断しています。

 

なぜなら文字とは「書字行動の一部」であり

ヒトの行動のチョットだけの結果だからです。

 

・・・筆者(ヒトを)識別するには・・・

書かれていない「ヒトの行動」を「科学」しなければ、なりません。 ←よね♪

 

この「科学」こそが「法科学における法文書鑑定」の神髄なのです!

 

 

では、書字行動とはどのようなものなのでしょうか?

 

簡単な例を用います。

子を持つ親や兄弟姉妹などの近親族

あなたは街の雑踏からや休日の公園などで

家族を見つけ出すことは、「それほど難しくない」と、経験をしたことがありませんか?

 

もちろん目で確認する服装やバックなどの目印も存在ます。

では、夕方など少しうす暗い時間帯に前に歩く家族を発見した経験は?

 

忘れてしまいましたか?

 

人の行動には個性が存在しています。

ですから、幼稚園児を持つ母親が、教室の中の自分の子を即座に発見できるのは

この行動個性を記憶しているからなのです。

 

筆跡にも行動個性が存在しています。

 知り合いからの手紙の筆跡を見ると「だれ」かが分かるのはこの行動個性が

筆跡に現れているからなのです。

 

そしてこの筆跡に現れる「行動個性」を「書字行動」と呼び、

「書字行動」を識別する科学を「筆跡鑑定」と呼ぶのです。

 

 

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多用することにより、見やすい紙面、
分かりやすい表現を実現。
 
「CHECKPOINT」などの各項目により、
要点や結論がひと目で分かる体裁
できる限り具体的な事例を列挙し、
捜査・公判実務に活用できるよう留意。
 
捜査の実務に即し、
技術的解説は最小限に絞り、
証拠収集の際の留意点など
鑑定資料の重要性を列記。

 

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