出生前親子鑑定 |
【出生前親子鑑定】
(出生前親子鑑定の問題と解説)
出生前、胎児の親子鑑定は、羊水・絨毛(CVS)の胎児DNAで
親子鑑定が可能です
【法科学鑑定研究所の方針】
弊所では一般からの出生前胎児の親子鑑定は実施していません。
ご了承下さい
【学校では教えない”遺伝子研究”暗黒の時代】
・・なぜ、出生前親子鑑定には問題があるのか・・
私たち祖先の遺伝学は、植物や家畜などを災害被害から守る為に進化してきました。
寒冷地で逞しく育つ南国生まれの稲や牛乳がたくさん搾れるホルスタインなど・・・です。
遺伝学の祖「メンデル」を経て「ダーウィン」の進化論へと遺伝学は進行していきます。
ここまでは、教科書に出ています。
【人種差別に利用された遺伝子研究】
「ダーウィン」の書いた「種の起源=1859出版」に当時の一般民衆が反応しました。
彼の理論とは「遺伝性変異は生存競争において有利になる個体が生じること」と・・・
ヴィクトリア時代(18世紀中後期)の人々は、その理論を人間にもあてはめました。
つまり「優等生も変質者も遺伝によるもの」と、したのでした。
(優生学の誕生です)
上流階級の人々は家系繁栄のため
上流の人々同士の婚姻を望むようになりました。
そして彼らは人類の最大の禁句を連呼しだしたのです。
「・・・生まれつき・・・」
・・上品さ、高貴、勤勉な上流階級も・・
・・不潔、不道徳、怠慢な下層下級も遺伝すると・・
そして、この上流階級の人々は変質者の子孫が犯罪を犯し犠牲者がでたり、
痴愚のせいで餓死者が近所の路上に転がるよりは、
子孫を作れないようにする方が世界にとって望ましいと、
救貧院、教護院、精神病院などの対策として、
これらの人々の生殖器を切り刻む暴挙に出たのです。
この間違った遺伝学はヴィクトリア時代から、
つい近年まで続くこととなったのです。
(少し前の映画や小説には上流階級と下層下級市民の話しが、たくさんありますよね)
これらの発想は、この「遺伝性優生学」が発想の基となっているのです。
1910年アメリカでは、優生主義政策を実施するため「優生記録局」を設立しました。
ここでは、てんかんから犯罪行為まで遺伝に関すること、
つまり膨大な量の家系図を作り
上流/中流階級の市民を守るための差別を目的としていました。
・・1916年アメリカ人「グラント」が「偉大なる人種の消滅」という本を出版・・
・・その内容とは・・
白人こそ、どの民族より優れており
優良な遺伝性財産を守る必要があるのだ!
・・と・・
そして、この思想は世界中に飛び火し、近代人種差別へと社会は進んで行くのです。
【遺伝学史上最大の汚点・・・ナチス!】
そう、ヒトラーが1933年、包括的断種法を成立させました。(遺伝性疾患子孫防止法)
「肉体的・精神的に不健康で生きる価値のない者は子孫に反映させてはならない」
・・と・・
法案成立後たった3年間で22万5千人が強制的に断種手術を受けさせられました。
1935年「ドイツ人の血統と名誉を保護する法案」が公布されました。
そして、ホロコーストというドイツ民族優生思想を生みだしたのです。
公布後「生きる価値がない者」とする対象のなかに少数民族やユダヤ人が含まれました。
その後、断種手術では手間が掛かると、
ユダヤ人迫害(殺害・殺戮)が始まったのです。
【日本で起きた差別】
日本も例外では、ありませんでした。
日本人は白人から差別される対象であったにも関わらず
なぜか、日本にも優生学が導入されました。
1938年、厚生省が創設され「日本民族優勢」を提唱しました。
そして、日本人種の改良に力が入れられました。
内容は、優良層同士の婚姻を推奨し、その出生率向上に努め、
劣悪層には不妊手術を合法化し、その出産を防止する。
大戦後の1948年「優生保護法」が立法されました。
これは、劣悪層と判断された場合、強制的な不妊手術を認めるというものでした。
(この時代の小説には、いたいけな子供達に不妊手術を施すものもあります)
世界では、1960年代に入ると、間違ったこの法案は、どんどん改正されていきます。
そして、1980年代に入ると人種と言うジャンル自体が無くなる時代に入りましたが
日本では、本当に最近の平成8年まで優生手術が実施されていました。
(えぇ~聞いたことないし・・数人程度でしょ)
統計データもたくさん出ています。
公表件数は、平成8年までに強制手術1万6500件、総不妊手術84万5000件
(新宿区+渋谷区+港区+目黒区=84万人 佐賀県=85万人)
この対象者で、有名なのはハンセン病ですが
うつ病などの精神病や、神経病として強性欲者、
犯罪者や先天性疾患者なども含まれていました。
これらの悪行思想の根本は間違った遺伝学(優生学)のものでした。
こうして優生学は人類にとって最大の悲劇となり
遺伝学という新しい科学にとっては災難であり
絶対に消すことは出来ない汚点となったのです。
つい最近、遺伝学は過ちをただし、遺伝子と細胞内における機能を
研究する方向に、ようやく進みだしました。
(DNA発見論文から約80年後のことでした)
以前とは比べられないほど生体分子は詳しく調べられるようになりました
そして、現在のDNA研究(遺伝子とは科学的には何なのか?)
という問題に取り組めるようになってきたのです。
このような歴史背景を持っている現在のDNA研究では
人種の差別や優等生などの産み分けに繋がる
一切の研究/鑑定は、明らかに倫理に反していると考えます。
弊所では、堕胎目的/産み分け、などに繋がる科学のお手伝いは出来ません。
ご了承ください
…m (o_ _)o)) ペコリ…
【母体血による出生前親子鑑定】
最近、母体血液からDNA親子鑑定が出来るのか?と・・
ご質問が御座いました。
結論から申し上げると、確証を持てるほどの「精度」は確立されていません。
出生前遺伝学的検査の一つで、「非確定的検査」です。
あくまで、予備的な検査方法で、陽性と診断された場合、
羊水検査や絨毛生検が必要になります。
ですから、母体血による出生前遺伝学的検査だけは、親子関係の判定は出来ません。
これは、アメリカの学会でも取り上げられ同様な判断がされています。
日本でも、母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会が設置され
あくまで「非確定的検査」であると見解を示しています。
すなわち、市販されいる妊娠検査薬と同じく、再度医師による判断が必要になります。
現在、出生前診断を含む母体血からの検査方法は多くの問題点を抱えています。
その問題とは、新しい検査方法が未完成のまま、ビジネスが先行し進んでいるからです。
つまり、科学検証・安全検証は行わず、見切り発車し、調整を繰り返す事で
コストを抑え、同時に検証実績を積む、という方法なのです。
ですから、現段階では、あくまで「低精度の予備的な検査法」だと、お考え下さい。
【弊所に寄せられた実例】
ある男性が、交際中の女性が妊娠したと相談され、DNA鑑定を検討する事になりました。
女性は全く身に覚えは無い、間違いなく彼の子です、ですからDNA鑑定します。と・・
すると、手術せず母体血から親子鑑定が簡単に出来ると海外ブローカーから勧められました。
この海外ブローカーはDNAの扱いや検査実務など全く知らない素人なのですが、
あたかも専門家を装い、検査は正確で安全だと説明したのでした。(←説明義務違反)
そして、病院を紹介され血液を採取(←違法です)、海外ブロカーに手渡しました。
その結果、「父性否定」、つまり父子関係不成立との結果が渡されました。
結局、女性は彼と別れる事になり、掻爬手術を受ける事に・・
その女性が弊所に来所し、中絶胎児から法的に有効なDNA鑑定が出来ないかと相談を受け
女性は、法廷闘争も辞さないと姿勢を崩しませんでした。(←カッコイイ)
そして、弊所でDNA型鑑定を実施、母親と胎児のDNA型を判定しました。
その後、父親の口腔粘膜を採取し、親子鑑定を実施しました。
その結果、親子鑑定は「父性肯定」、胎児は間違いなく彼の子供と判定されました。
彼らは、人の心の弱みにつけ込み、低精度で予備的な検査を、高精度で安全な検査だと偽り
その結果、子供の命を奪い、人の心を深く傷付けても、平然としています。
・・・・・・
・・・
母体血を用いた出生前遺伝学的検査は、
十分な検討と配慮が必要なのは、いうまでもありません。
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