画像解析・防犯映像解析・写真解析

鑑定内容

 

【撮影日時と時刻を特定する】

 

アリバイの証明や、工事現場関係の証明など、

写真が証拠として登場する場面が増えつつあります。

 

 

撮影日時や時刻の証明などにおいて、撮影場所が判明している場合、

その写真から撮影日時や時刻の判明が必要になる事があります。

 

 

その手軽さから、現在はデジタル・カメラが主流です。

このデジタル・カメラで撮影するとその画像の裏側には撮影データが刷り込まれます。

 

撮影データには、撮影機器メーカー、機種、撮影日時、ISO、焦点距離、GPSなど

多くのデータが記録される事をご存じの方も多いと思います。

 

ある事件の証拠として、事件当日は違う場所に居たとして、

デジタル・カメラで撮影された写真画像20数枚が証拠として提出されました。

 

その写真達が真性の物なのか?または偽造/捏造の可能性はないのか?

と言う案件が弊所に持ち込まれました。

 

早速、初期検査にて「撮影したカメラと記録したメディアの検証から行いたい」と申し入れると、

「撮影カメラと記録カードは紛失して無い」との事でした。

一抹の不安と共にCDRに書き込まれた写真画像の初期解析に取り掛かりました。

 

すると、画像の裏側の撮影データは、見事に全て消去されています。

 

撮影日時は、写真表面に刷り込まれた日付と時間だけ、

この段階で何か変だぞと感じ始めます。

 

そこで、写された写真画像から日時特定を行う方法を検討することにしました。

 

日中撮影された旅行先の公園での写真画像を用いて

陰影のハッキリしたものについて、日時と時刻の特定を行います。

 

先ず、撮影したと証言している「カメラ」をメーカーに問い合わせ

撮影したカメラとレンズの詳細を取り寄せ、光軸の方向を定めます。

写真からの物体解析(大きさや高さ幅などのサイズ特定)には、
撮影に用いられたカメラとレンズの『幾何光学』を調べる必要があります

例えば、地平面を手持ち撮影する場合、

撮影方向は必ずしも鉛直ではなく、写真に歪みができ、

どの部分の縮尺も一定とは限りません。

そのため、撮影高と傾きを修正して統一化し、

縮尺と傾きを直し、歪みのない写真に直す処理を施します。

これを、「偏位修正」と呼びます。

 

 

次に、気象・天文学的検証を行います。

 

写真に写し込んである日付と時間を頼りに、

その地区の測候所や気象台に問い合わせ、

撮影当日と前後2~3ヶ月の時間別天気状況を取り寄せます。

 

同時に、撮影地点の緯度と経度を調べます。

次に、撮影地点の太陽の視赤緯を調べます。

さらに、方角と真北方との偏角を求めます。

現地測量において、方位磁石をもって測定した場合、
磁石の示す「北」は天の北極(真北)に対して偏角をもっています。

日本の場合、磁石の示す北は西に偏っています。ですから偏角を求めます

 

 

さてと、材料が揃いだしました。

 

では、始めますか・・撮影日時と時間の割り出し

 

 

先程調べた赤緯とは天体の位置を示す座標の一つで、

赤緯と組み合わせ太陽の位置を求めます。

 

そして、太陽が真南にくる時刻を求めます。(これを南中時刻と呼びます)

ある地点の南中時刻を求めるには、以下の数式を用います

TS=TS1+M

TS その地点に於ける南中時刻
TS1 旧東京天文台に於ける南中時刻
M その地点の緯度/経度によって定まる補正項

 

これら天文学に用いられる数学式を用いて、

写真に写り込んでいる「木」や「街灯」「建物」にできた

陰影の方向と長さから太陽の天文学的位置を算出し、

撮影日時と時刻を割り出して行っていきます。

 

 

 

 

じつは、天文学は本当に多くの計算式からなる

洗練された数学的な魅力にあふれた学問なのです。

また、世界中の多くの科学者/数学者によって検証された、

最も公平で、美しい数式をもつ学問とも言えます。

 

ならば、この数式を科学捜査に応用しない手はありません。

~先人達の知識と努力に感謝~

 

 

 

・・そして・・

今回、問題となる疑問写真画像には「2010. 05. 02  11:23」 と表示されています。

 

 

・・しかし・・

得られた数値データから、天文学の数学式を用い日時と時刻を計算すると、

なんと、201042日の1112分~1128分の間と推定されたのです。

 

つまり、この疑問写真画像は

カメラの日付設定を一ヶ月先にずらし、撮影されていたのです

 

また、撮影地点の公園に5月2日前後に咲く花と

1ヶ月前4月初旬の花の違いについて調べもらい、

写真に写り込んでいる花は

5月初旬には全て枯れていることを突き止めました。

 

さらに、公園のレストランにて食事中の写真に付いても、

人物の背面でぼんやり見える店内壁面、

その壁面に貼られたポスターを、拡大および鮮明化処理すると

ある文字が見えだしました「4月のお勧めランチ」と・・

 

そこで、レストランに確認すると

・・5月2日には「ゴールデンウィークのお勧めメニュー」に変更されていました・・

 

 

よぉ~し! これで、写真によるアリバイは崩れた。

 

 

つまり、カメラの日付設定を1ヶ月先にずらし、旅行写真の撮影を行い

その後、写真画像の裏側データを全て消去し、カメラと記録メディアを捨てた?

・・かも・・

 

 

だとすれば、計画し実行した事件だった?

・・かな・・

 

 

 

さてと、撮影者様は事件当日の5月2日・・本当は、どこに居たのかなぁ~♪

 

 

 

次の証拠、防犯カメラに写った映像・・・(屮゚ー゚)屮 かも~ん

 

 

 

画像解析/映像解析

防犯カメラ画像から顔の識別撮影日時と時刻を特定する依頼のしかた/画像解析費用

 

【科学捜査読本@法科研・絶賛発売中!】

 

「科学捜査」  『科学捜査』

 あの事件の犯人は、
 これで浮かび上がった!
 
 (主婦の友ベストBOOKS)


 主婦の友:刊

 法科学鑑定研究所

 定価:1575円

 ISBN978-4-07-273838-2
『犯人は知らない
 科学捜査の最前線』


  (ナレッジエンタ読本)


 メディアファクトリー:刊

 法科学鑑定研究所

 定価:945円(税込)

 ISBN:978-4-8401-3033-2