毛髪からのDNA鑑定 |
【毛髪からのDNA鑑定】
(毛髪からの鑑定の方法、費用などをご説明いたします)
【毛髪の構造】
毛髪を強く引き抜くと白い毛球が一緒に付いてきます
親子鑑定など血縁鑑定に対応するSTR法は
強く引き抜くと白い毛球に付着する
毛乳頭のなかに存在するDNAを抽出し検査されます。
【毛髪-毛幹部のDNA鑑定】
毛は、皮膚の中にある根毛と皮膚の外にある毛幹に分けられます。
毛髪毛幹部からの個人識別が簡単に出来れば捜査には大変有効です。
毛髪は硬組織なので、表面を徹底的に洗浄することが可能です。
洗浄後、クリーンベンチなどの隔離した作業台で管理を徹底すれば
理論上は毛髪毛幹部からも個人識別は可能になります。
しかし、現実にはmtDNAを中心に検査し、運がよければ核DNAが
検査できるかも知れないと、いった程度にとどまります。
毛髪毛幹部は中心部にある髄質に微量のDNAが含まれています。
しかし、この髄質は個人によって存在量が変化しています。
たっぷりと髄質をもっている人、まったく髄質をもっていない人
この個人差も個人識別の成功率に大きく作用します。
また、毛髪に含まれるメラニン
この成分はPCRを阻害する物質として報告されています。
毛髪毛幹部からのDNA検査は、難易度の高い検査法といえます。
したがって、検査のコストも高額なものになります。
さらに、高いコストを掛けても、検査結果が得られない場合もあります。
低コストで検査を設定すれば、ますます成功率は低下します。
刑事案件のここ一番に登場する毛髪毛幹部からの鑑定は
民事案件では敷居の高い検査と言い換えることが出来るかも知れません
よく、お問い合わせで頂く、「製品内混入毛髪」のDNA個人識別!
・・現状の成功率は・・
毛先 | 毛幹 | 直上根 | |
血液型 | 12% | 27% | 41% |
DNA-mtDNA型 | 1.0% | 3.0% | 18% |
DNA-STR型 | 0.003% | 0.16% | 2.8% |
毛幹部のmtDNA抽出成功確率は、わずか3%程度とされています。
1件当たりの検査費用は20~30万円程度掛かります。
(毛髪1本からのDNA型判定10万円 + 対照人数@名5万円 + 照合費1件3万円 + 税)
もし、毛幹部からの個人識別が可能な新技術が開発されれば
日本国内市場だけでも・・年間利益○○○億円は・・下らない
都内の一等地に超高層ビル・・・簡単に建っちゃいます・・・(^^
そのため、世界中で研究が進められています。
・・が・・
DNAの残骸しか存在しないのに・・どんなもんでしょう?
(現状ではDNA以外の個人識別方法が開発されないと困難と考えられています)
【毛髪-毛根部からのDNA鑑定】
毛は、皮膚の中にある根毛と皮膚の外にある毛幹に分けられます
毛根は皮膚の表皮細胞が筒状に落ち込んだ毛包と呼ぶ白色の鞘の中に収まっています
毛を強く引き抜くと根毛には毛鞘細胞と真皮性毛包の結合繊維組織が付いてきます
毛球の底部には乳頭状にへこんで真皮から血管が入り込んでいます
この乳頭部にはタンパク質が存在し核細胞の採取が可能になります
毛乳頭から採取された細胞からDNAを抽出し個人識別や親子鑑定を行います
【なぜ、毛根でないとDNA鑑定できないのか】
・PCR増幅限界値 = ~0.01ng/µl
・DNA鑑定には、正常な状態の細胞が3個以上必要です
毛先 | 毛幹 | 毛根なし毛根 | 毛根あり毛根 | |
DNA量/本 | 0.000001ng | 0.00035ng | 0.015ng | 120ng |
細胞数/本 | 0.0003個 | 0.1個 | 5個 | 40,000個 |
上記の表を見れば一目瞭然です。
毛根なし毛根でも、ギリギリDNA鑑定可能です
証拠採取の専門教育を受けた捜査官なら、
決定的な証拠を逃さないでしょう
しかし、民事案件で素人が取った遺留毛髪の場合
採取時のロスや保管のロス、汚れ等により、
鑑定不能となるケースがほとんどなのです。
【毛髪-STR法による個人識別/親子鑑定】
(ここでは、毛髪からの血縁関係の方法を説明します)
よく誤解されていますが、毛髪からのDNA型検査は、
「検査者」が「被検者」の毛髪を抜き取ります。
脱落毛や切った髪からは・・特殊なケース以外・・鑑定困難です
(~身元が判明していて、数千本の束になっているとか~)
さらに、任意提出された、素性の解らない毛髪のDNA型検査は、
インフォームドコンセントによりDNA型検査することは許されていません。
技術的には、1本の毛乳頭付き毛根であればPCR法を行い検査が可能です
ですが、毛根があっても毛乳頭が無いケースもあります。
毛髪からのDNA型検査は
検査者が、被験者より、直接、頭部4カ所の毛髪を抜き取ります
(ご来所して頂きます)
DNA抽出不能、資料汚染による鑑定不能を未然に防ぐためにも
多くの検体試料を採取する必要があるからです。
因みに、アメリカの一部の移民局に提出するDNA鑑定試料には
①口腔細胞 ②毛根 ③血液
この3種のDNAデータを求められる州も存在します。
ですが・・どこにも「毛髪」とは書かれていません。
筆者は、実際にアメリカで訓練を受けていますが・・血が出る程・・抜き取りますよ
痛いし・・イヤでしょ・・(^^;
【混入異物としての毛髪】
[よく頂くご質問]
一般脱落毛髪や食品混入毛髪からDNA個人識別出来ますか? | |
櫛ややブラシに付いた毛髪や部屋に落ちていた毛髪からDNA個人識別出来ますか? | |
DNA検査を実施するこは可能です。(可能性も0%ではありません) | |
ですが、DNA個人データを得られる可能性は、ほとんど無いと思われます。 |
警察などが事件現場で採取している毛髪は
『毛根付きの毛髪』
『頭皮付の毛髪』や、『強制的に抜かれた毛髪』を
探し出しDNA鑑定を実施しています。
(例えば・・凶器に残された頭皮付き毛髪とか・・頭部が強打したテーブルなどです)
事件現場に残される、一般脱落毛髪は
色・形状・付着物の成分分析などの試験検査を行い
法医学的個人識別を実施しているのです。
【毛髪鑑定の実情】
状況は上記にて、ご説明いたした通りです。
それでも、毛髪の鑑定が必要な方は、ご相談ください。
親身に対応させて頂きます。
もし、弊所で鑑定をご検討いただけるなら
・・意地・・お見せします。
考えられる全ての試験方法と検査者としての意地で対応いたします。
予算は検体や状況にもよりますが、20~50万前後とお考え下さい。
(資料の写真と概要をTELでご連絡後ご郵送下さい。見積もりをさせて頂きます)
もちろん、赤字覚悟で受検いたしますが
それでも結果をお渡しできる可能性は・・・です
ご検討下さい
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